花田参加作品のご紹介 その23
2010年 03月 05日
1986年から87年にかけて、花田はSIONのレコーディングとライブ双方をサポートしている。この時期の花田のセッション・ワークとして、非常に重要な位置をしめるものだと思われる。これらのシオンとのセッションのうち、公式音源化されている楽曲についてレビューして行くことにするが、その前にそれらの楽曲の収録音源について事実関係を整理しておきたい。
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この時期のシオンとのセッションで公式音源化されているものは、レコーディングの時期という観点から、以下の3つに分けることができる。
まず1つ目は、1st Album『SION』レコーディング・セッションで録られた12曲である(以下、配列は五十音順)。
①俺の声
②風向きが変わっちまいそうだ
③今日もまんざらじゃなかった
④コンクリート・リバー
⑤新宿の片隅から
⑥SORRY BABY
⑦TONIGHT
⑧ノスタルジア
⑨KNOCK ON THE HEART
⑩ハードレイン
⑪街は今日も雨さ
⑫レストレス・ナイト
これらは、以下の音源で初出となった。
・シングル「俺の声」[Continental/CE-65] (1986.6.21)
①⑩
・アルバム(LP版)『SION』[Continental/CI-43] (1986.6.21)
②③④⑤⑥⑦⑪⑫
・アルバム(CD版)『SION』[テイチク/30CH-178] (1986.6.21)
①②③④⑤⑥⑦⑩⑪⑫
・ミニ・アルバム『KNOCK ON THE HEART』[Continental/15HS-7] (1986.9.21)
⑧⑨ ※注参照
このうち、少しややこしいのは『SION』のLP版とCD版での収録曲の違いだろうか。その違いをまとめると、「俺の声」+LP版=CD版、ということになる。当時の状況を考えると、アナログ・ユーザーにはシングルとアルバムの双方を購入させようという戦略だったと思われる。また、アナログ・ユーザーにCDプレイヤー購入の意欲を喚起させるために、この時期はCD版の方が収録曲が多いことが多かったように記憶している。
これだけだと完全に過去のことなのだが、このLP版とCD版とのバージョン違いは現在入手しやすいCDにも反映されているから、話しがややこしい。2004年の再リリースではCD版が採用されているのに対して、2008年の再々リリース(紙ジャケ仕様)ではLP版が採用されているのである。
したがって、花田参加音源としてコレクションをするならば、2004年版がおすすめということになる(2008年版はリマスタが行われているが、もともと良い音で録られているアルバムなので、際立った違いは感じられない。中低音の厚みと分離は2008年版の方がさすがにいいが、2004年版でも十分に「聴ける」と思う)。
2008年版のみを持っている方は、2004年版を購入し直すか、①⑩を同時収録しているベスト盤『TWIN VERY BEST COLLECTION』[Baidis/TECN-35861~62] (2002)で補完できる。
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2つ目は、1986年6月17日、渋谷ライブ・インのライブ音源で、以下の3曲。
⑬新宿の片隅から
⑭TONIGHT
⑮レストレス・ナイト
これらは、シオンの初期のライブをコンパイルした『STRANGE LIVE/1986-1988』[Baidis/TECN-30219] (1993.4.21)で初出となった。
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3つ目は、1987年1月19日、FM東京・ホールのライブ音源で、以下の5曲。
⑯シティライフ
⑰春夏秋冬
⑱ダーリン
⑲楽しみといえば
⑳目隠しをくれ
これらは、以下の音源で初出となった。
ミニ・アルバム『風来坊』[Continental/15HS-10] (1987.5.21)
⑯⑳ ※注参照
SION『'85>'87』[Baidis/35CH-288] (1987.12.2)
⑰⑱⑲ ※注参照
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以上、1986年~87年に花田が参加したシオン音源のリリース状況を整理してみた。次回以降、これらの音源にレビューを試みていくことにしたい。
(涛々・当館研究員)
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※注 『'85>'87』は、初期シオンの音源をまとめたコンピレーション・アルバム。
ここに、⑧⑨⑯⑳も再録されている。