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花田裕之を「記念」します


by toto-toto-akie
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The Roosters『Live '82』で盛り上がる

The Roosters『Live \'82』で盛り上がる_c0147713_1321197.jpg

※涛々's impression
発掘音源を語る際の観点としてよく採用されるのが「音質」「演奏」「資料的価値」であろうか。もちろん、この他にも様々な観点があるわけだが、今回は上の3つの観点から『Live '82』を聴いてみたい。

まず「音質」。今回の音源はオーディエンス録音のものと思われるが、その割にはバンド全体の鳴りはけっこうとらえられていると思う(あるいは、それくらいのレベルまでは補整されている)。個人的な感覚だが、こうした発掘ライブ音源の場合、音質が悪ければ悪いほどステージとの間に幕のようなものが何重にもおりている感じが増して、もどかしさも強まっていく。今回も、そのもどかしさは少しは残るものの、聴いていてがまんできなくなるほどではなかった。

次に「資料的価値」。ライナーを担当している寺田正典氏の推定によれば、3月15日の新宿ロフトでのライブとのこと。つまり、時系列で言えばボックス『Virus Security』の1981年のライブをまとめたCD20と1982年のライブをまとめたCD21の間を埋める位置付けになる(注1)。この時期のルースターズの変化の早さを思えば非常に価値は高いのではないだろうか。ただし、「資料」という点で言えば、当日のライブの全貌を伝えるものではないのは残念。当日は⑪以降にも演奏は続いたはずで(注2)、おそらくは元テープの収録時間(46分カセットか?)のため、その全貌が捉えられているわけではない(注3)。

最後に1番かんじんな「演奏」そのもの。これは非常にテンションが高いというのが、個人的な第1印象。重心を下げた①、音の洪水が圧倒的なキラー・チューン②、空間がネジマガってしまいそうな⑤、タメの増した1stと2ndの収録曲などなど。すばらしいというような言葉が出てくる以前にテンションに飲み込まれてしまった(注4)。

このように、細かな難点は差し引いたとしても1982年の新型ルースターズに興味がある方には有効なサブテキストとなるのではないだろうか。

注1 CD21は、1982年4月19日の名古屋・雲竜ホールから始まる。
注2 「wouldn't it be nice」さん掲載の当日のセットリストは、 ↓ 。
     ライヴ・スケジュール&セット・リスト 1982年
注3 注2のセット・リストを見ると、⑪の後には「ROSIE」がChuck Berryの「Come On」を間にはさんで演奏されている。同じ構成の『Virus Security』のCD21収録のヴァージョン(名古屋・雲竜ホール)では7分を越えているので、曲の途中でテープ・エンドエンドとなったと思われる。ボーナス・トラック扱い(参考扱い)でもいいから収録してもらいたかったところだが、これは資料的な興味も含めた個人的な意見であって、アルバムの統一感を優先すれば、⑪までの収録というのも納得がいく。
注4 このテンションが、当日のライブの終盤でどのようになっていったのか。この意味でも当日ライブの全体を収めていないのは残念と言える。今後の発掘→公式音源化を待ちたい。

                                            涛々(当館研究員)

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※明恵's one point
どうも、明恵@花田ボーカル曲担当です。

花田ボーカルは、The Modern Loversの④とDr. Feelgoodの⑧っすね。④は『Virus Security』のCD21と22にライブテイク、CD27にスタジオテイクが収録されてますが、手に入りやすいアルバムに収録されたのはうれしいですね001.gif。⑧の方は、全部あげると大変なので省略~、と言いたくなるくらいのライブ定番曲。


その、「俺たちの昔から好きで、ずっと演ってた曲です」という大江氏のMCではじまる⑧から。何度聴いてもかっこいいイントロですね。

でも……、あれ~? 花田のボーカルがあんまり聴こえてこないじゃあないですか005.gif
おんやあ? 声は聴こえるから歌詞が飛んだわけじゃあなさそうですが、マイクの角度が合ってなかったんでしょうかねえ……もったいない。
んなわけで、私は高速インストとして楽しんでいます(←嘘)。
他の音源の花田の声を頭の中で重ねて、強引に盛り上がっています。バンドの演奏は迫力あるから、しっかりとボーカルが録れてれば、ベスト・テイクになったかも。う~ん、もったいないお化けが出てきそう。


んで、こっちはしっかり声も出ている④。陰影に富んだ元曲の雰囲気が増幅されて、独特のかげりに満ちたカバーっす。花田の好みもあるんでしょうけど、⑧から④へとバンドの好みも広がってきた気が……。リズム隊のアンサンブルとか、ギターのカッティングとか、ウピ~ッと突然うなるキーボードとか、最新型ルースターズって気がするなあ。

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The Roosters『Live '82』[Hagakure/UPCH-20089] (2008)
 ①LET'S ROCK (w/m: 大江慎也)
 ②WE WANNA GET EVERYTHING (w/m: 大江慎也)
 ③FADE AWAY (w/m: 大江慎也)
 ④Astral Plane (w/m: Jonathan Richman)
 ⑤ALL NIGHT LONG (w/m: 大江慎也)
 ⑥IN DEEP GRIEF (w: M. Alexander m: 大江慎也)
 ⑦FLY (w: 大江慎也 m: The Roosters)
 ⑧She Dose It Right (w/m: Wilko Johnson)
 ⑨ONE MORE KISS (w: 大江慎也 - M. Alexander m: 大江慎也)
 ⑩新型セドリック (w/m: 大江慎也)
 ⑪CASE OF INSANITY (w/m: 大江慎也)
※大江慎也: vo, g/花田裕之; g, vo/井上富雄; b/池畑潤二; dr
  ((安藤広一; key))
※producer: 斎藤靖

 *((   ))内は推定
by toto-toto-akie | 2008-06-26 13:00 | room 1: ルースターズ